さがしものは何ですか?

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[書籍] 心を癒し自然に生きる

 

おすすめ文

【内容】
著者は、日本の先駆的な形成外科医として、医療の場でも、常に「平安」を祈り続けた春日大社宮司。著者自身の半生とともに、決して他と対立せず相手と一つになろうとする日本人の「共生」の姿を語る。以下に各章毎の内容、印象に残った点を挙げる。


はしがき
・日本人のこころというものを一言で説明することはできないが、日本人の歩んできた共生という考え方が日本人の特徴の一つにある。外国の考えは、すべて対立でものを考え、病気でも除去しようと考えるが、日本人は対立しないで相手と一つになろうという考えを持ち、共生の生活を行ってきた。


Ⅰ.形成外科とは
・形成外科などという名前もない時代、変形の顔を持った人は一生あのままなのか。その精神的な悩みというのは大変なものだと思った。もし誰も手術しないというのであれば、自分でやろうかと、大それたことを考えた。今にして思うと、自分で考えたのではなく、神さまが著者にそう思うよう導かれたのだと思う。
・昔は、胃潰瘍はガンになるといって、胃潰瘍を見つけたらすぐに胃の半分とか3分の1くらいを切っていた。ところが、だんだん薬が発達してくると、手術をしなくても薬で治ると変わってくる。それは治療の進歩だというが、これを疑問に思った。はたして本当の医療というのは何なのか。本当というのは、自然の法則に沿った治療かどうかということ。そうでない医療は、どんなに一時的に脚光を浴びても、必ず後で副作用などといったものが起きてくる。
・形成外科というのは、傷がそういうふうに治っていくのかというのが基本である。4年間、毎日顕微鏡を見ていると、体の中で傷がどう治るかいうのがわかってしまった。なかを知っているから、そのときに酵素がどのようになっているかということもわかる。
・府立病院で2年間皮膚科の勉強をしていたが、そのときに大阪で顔面の変形について一人で研究して治療している先生がいるということを耳にし、織田先生を訪ねることとした。手術を教えて欲しいと訪ねても門前払い。3回目に「自分の言うとおりにやるんだったら教えてやってもいい」といわれ、月給はなしで手伝うことになる。とはいえ、なかなか手術は見せてもらえない日々が続く。
・我慢と忍耐というのは違う。夢を持つと、おのずから忍耐をする力が出てくる。夢を持っていたから忍耐できた。別に我慢しようとは思っていなかったが、おのずから忍耐できた。織田先生のところでは、色々と勉強させられた。4年間習ったが、手術の方法というのはほとんど習っていない。毎日の経験から、色々なことを勉強させられた。
・そのまま続けていれば、織田病院の副院長だったが、著者の義兄が亡くなってしまったため、織田病院を去り、大野病院の院長になることとなる。


Ⅱ.形成外科医として歩む
・著者はだいたい一人の患者の手術に6~7時間かけるという。7時間というのは、人間が立っていられる限界。しかし、その極限までやらなければ、顔の手術はできない。完璧ではないけれども、そこまでやらなければ、その人にとっての幸せな顔をつくるということはできるわけがない。
・たまたま鍼の先生に出会い、夜鳴きの鍼治療をした子どもは、やらない子どもよりも傷がきれいになっていくということに気づいた。そこで、鍼灸の先生に毎週来てもらって、自分の体に鍼をうってもらったという。どのツボにうったら、体がどう感じるかということを、体で覚えていった。
・人がやって「これはいいな」ということがわかってからやるのは、だれでもできる。そうではなく、まず最初にやる。いいなと思ったら、最初にやることが大切だと思う。二番煎じではダメである。


Ⅲ.形成外科の手術―自然の姿を取り戻す
・いま自然破壊をもとに戻そうといって植林というものが各地で行われているが、人間側からの考えだけで、そこに木を植えたらいいだろうというのでは、本当の自然というのは回復しないと思う。それは人間の体とて同じこと。皮膚がないから、他から皮膚を植えたらいいではないかという発想では元に戻らない。日本人の共生という考え方でなければ、絶対に戻らない。
・日本人の「はたらく」とは、「はた」を「らく」にするということ。相手の幸せを考えるということが、働くということ。自分のためにやる、自分だけ得しようということでは、回りまわってしっぺ返しを食らうことになる。
・いまの常識では、傷口がふさがったら治ったという診断をしている。ところが著者はその治った傷をきれいにするということをやっている。傷あとが残らないで正常な皮膚に戻ったときが、治ったということ。この傷あとを整えるためには、とにかく時間がかかる。


Ⅳ.無我の手術を求めて
・昔から日本人というのは、「はた」を「らく」にする、つまり、人を悦ばせることが人生であり、人を悦ばせることが自分の悦びとなるという生き方をしてきた。著者もこうした生き方をしようと日々精進を重ね、とくに形成外科で患者と接する時、いかにしたら患者さんが最高に幸せになってくれるかしか考えていなかった。
・著者は、無我になろう、神様に導かれた手術をしようということで、祈ることとともに、カルテに手術記事を書くということを続けた。普通の外科の先生だとカルテ1枚くらいのところ、絵を描いて色を塗って、どういうふうに手術したのかとういことを、最初から最後まで何枚も書き込んだ。そういうことを繰り返している間に、手術というものが自分の体の中に馴染んできて、頭を使わないでも体が動くよういなると考えた。そこまで達しないと無我の手術はできないのである。
・病気が薬とか何かで治ったというが、その過程が非常に大切である。病気から治っていく過程によって、人間は進化すると思う。そうすると、病気が幸せに変わってくる。


Ⅴ.「こころ」を癒す医療
・形成外科というのは、全部こころの治療である。唇裂の人も、手術を受けて鼻のかたちはきれいになり、唇が元通りになっても、全然喜ばない人がいる。われわれはその人の顔を眼で見ることができるが、本人は自分の顔を直接みることができない。これがほかの体の部位と違うところである。本人は、鏡でしかみることができないため、変形しているところだけを見てしまい、ほかにきれいになったところは見ないということもあるのである。
・著者は、形成外科で患者さんたちを救う人生だから、それにふさわしい生活をしなければいけない。だから、手術をするための人生で、常に健康、ベストコンディションでいなければいけなくなった。そのためには、生活を節制しなければいけない。特に、手を傷つけられないため、常にゴム手袋をつけ、重いものを持たないようにしていたという。
・昔から言われているが、こころにしこりを残せば、たとえ手術をしたとしても、傷にしこりが残ってしまう。だから、恨みごとというのは、一切やってはいけない。


Ⅵ.感謝するこころ・日本人のいのち
・統一をしない、柔軟さ、1つに決めないところに日本人の特徴があり、それを「夕方」という。現在は、金儲けに走ってバブル崩壊を招いたり、猫も杓子もインターネットといったように、みな同じことをやってしまい、日本の昔から伝えられていた繊細な文化が滅んでしまっている。だから、1つの価値観で統一しないということに再び目覚めたら、またすばらしい日本と言う国になると思う。多様性を大事にするという生き方が、世界の平和につながっていくと思う。
・見えないところに力を入れるということが、日本人のこころ。たとえば日本の衣紋道でもそうである。外国では見えるところを着飾るのに対し、日本のファッションは十二単など、見えない部分をしっかりと整えて美を表そうとする。見えないところで粋をつくすということが、真の美だと思う。



【感想&気づき】
お薦め度:★★★★(5段階評価)
この本は、ある方からお借りした本。普段は読まない分野の本であった。形成外科という分野を自ら築き上げ、神の領域ともいえる無我の手術を目指して、日々、患者さんのことを考え続けた著者のこだわりというものが強く感じられる本であった。
私自身、形成外科というものに縁がなかったが、身体の問題によって精神的にも病を抱えている人が、世の中にはいらっしゃり、こころの治療も含めたこういった医療が必要なのだということを認識した。
また、宮司になられたという著者の考える日本人のよさ、そして現代社会の抱える課題にも言及されており、一気に読み進められる本であった。
自分で本を購入するだけでは出会えなかった本、新たな本との出会いに感謝したい。



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基本情報

株式会社春秋社 − 葉室 頼昭

投稿者

smile-coach

最終更新

2008-08-07 08:00:21
 

コメント

  • ■ 無題

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    essay writing  2017-05-04 13:00:16

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