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[書籍] 変人力~人と組織を動かす次世代型リーダーの条件

 

おすすめ文

【内容】
ダイエー前社長で、現在はマイクロソフト日本代表の代表執行役兼COOを勤められている著者が、「再生の泥沼」でつかんだリーダーシップ論をまとめられた本。帯には、「異様なまでの執念と非常識な考え方を持たなければ、組織のDNAは変えられない!」とある。以下に、各章毎の内容、印象に残った点を挙げる。


はじめに
・林文子会長(現副会長)とともにダイエー再生に取り組んだ499日間は、山積する課題に追われる日々が続き、個人的な考えを整理する余裕はまったくなかった。眠れない、食べられない時期が続き、体重が8キロ落ちたことがある。特に最初の1年間はほとんど不眠不休で仕事と向き合ってきた。
・社長を辞めてから数ヶ月の充電期間を得て、ダイエー時代に考えたこと、実行したことを、客観的に見つめなおすことができた。ダイエーでの死闘ともいえる経験は一体何だったのか、そこから私は何を学んだのか…それらがようやく見えてくるようになった。


第1章 泥沼のリーダーシップ論~ダイエー再生に9かけた499日間の苦闘~
・著者が日本HPの社長に就任したのは業績が低迷していた最中のこと。しかも合併された側のコンパック出身だったため、就任直後は「お手並み拝見」という冷めた雰囲気が強かった。しかし、矢継ぎ早の改革が功を奏し始めるとともに、出身会社を超えた社員の一体感も高まり、ワールドワイドのHPの中でトップクラスの売上成長を記録するまでに業績は急伸していた。そして、2010年の売上高1兆円を目指して、さらなる攻勢を仕掛けようとしていた矢先、ダイエー社長のポストへ興味がないかという話が舞い込んできた。
・もともと著者が経営者になりたいと思うようになったのは、社員が生き生きと働ける理想の職場をつくりたいと考えたからだ。仕事は本来つらいもの、苦しいものかも知れない。しかし、皆が能力を発揮しあって共通の目標を達成したとき、何ものにも代えがたい達成感や充実感が得られるのではないか。それが働く原動力となり、ひいては自己実現や自己成長にもつながっていくのだと思う。
・問題は、組織の意思決定プロセスそれ自体にあるのではなく、戦略転換が求められているときに社員一人ひとりの自発性をどこまで引き出せているかにある。環境の変化が激しく、お客様のニーズも移り変わりやすい現在においては、トップ一人の器で企業の器が決まってしまうような体制はリスクが大きい。やはり、社員が知恵を出し合い、現場と本部が一体となって改革に取り組まなければ厳しい難局が乗り越えられない。そうした環境を意識的に作ることが、これからのリーダーの役割ではないであろうか。
・まずは「当たり前のこと」を当たり前にできる組織に変えなければならない。ビジネスパーソンとしての基本動作、小売業としての基本動作を周知徹底することが、再生の第一歩となる。そのために著者は、ダイエー社員たちの意識を変えることこそ焦眉の急であると、任務を再確認した。
・現場の風土こそが企業発展のベースになる。戦略や戦術は、あくまでその上に乗せるものである。
・本来的には、構造改革と営業力強化策は同時に進めるべきではない。なぜなら組織が後ろ向きの改革を進めている間は、社員のマインドも否応なく後ろ向きになり、その状態で前向きな改革に取り組んでも十分な成果を見込みにくいからだ。しかし、ダイエーの再生計画においては、期限付きの数値目標が当初から設定されており、2つの改革を別々に進める時間的余裕はなかった。後ろ向きなことと、前向きなことを同時に行わなければならない。そのため、「お客様が戻ってくることを信じて頑張ろう!」といいながら、その舌の根が乾かないうちに店舗閉鎖や人員削減を宣言するという矛盾を抱えることとなった。それゆえ進軍ラッパを吹いても現場の士気がなかなかあがらず、改革が困難を極めたのも事実である。
・リーダーたる者、最後まで決して逃げてはならない。つらい場面から目を逸らしてはならない。どんな困難にも怯まず、挫けず、現実と格闘し続けなければならない。ましてや痛みを伴う改革を自ら断行したのであれば、その痛みを一身に背負う覚悟が求められるのは当然である。つらい現場に行かない、きつい仕事はできないということでは、誰一人としてリーダーに従わないのではないかと考え、著者は閉鎖店舗を回った。
・これからのリーダーやマネージャーには少なくとも3つの能力が必要。その能力とは「現場力」「戦略力」「変人力」である。現場力とは、現場の創意を最大限に引き出す力。戦略力とは人と組織を正しい方向に導く力。そして変尽力とは、それら2つの能力を根底から支える力、すなわち変革を猛烈な勢いでドライブする力である。


第2章 現場力~現場の創意を最大限に引き出す力~
・そもそも小売業は、メーカーのように強い事業を明確にしてその事業に資源を集中し、育てていくという戦略がとれない業種である。釣りに例えるなら、魚のいるところにボートで行けば釣果は上がりやすい。しかし、小売業は、いつも同じいわばで釣り糸を垂れなくてはならないのである。そのときに重要となるのが、現場の社員一人ひとりのモチベーションであり、リーダーにとっての「現場力」である。
・著者は、全国の店長たちと積極的にコミュニケーションをとり、彼らの意識が前向きになられば、それだけでも現場は再生していくと信じていた。店長が変われば、その意識が波及効果となってげ現場のスタッフ一人ひとりに伝わっていく。そのためにも店長をやる気にさせることが現場改革の出発点だと考えていた。
・店長や支配人から見れば、社長との電話は単なるコミュニケーションの手段にとどまらない。いつでもダイレクト・コミュニケーションがとれるという安心感、本部が自分たちをきちんと見ててくれるという信頼感が、それまで本部に不満を持っていた多くの店長・支配人にとって、大きな変化となった。
・著者は、口癖のように「いま再生中で、一番大事なのは売上ではなく利益、だから粗利の絶対額を最大化しよう」といったが、売上至上主義の体質に慣れていたせいで、変化を起こすのに苦労した。
・顧客志向の大切さは、100人の経営者に尋ねれば100人とも重要だと答えるであろう。しかし、その考えが社員一人ひとりの意識と行動の基盤になっている企業は本当に少ない。なぜ、この当たり前のことができないかというと、①組織が大きくなるにしたがって、お客様の声が社内に響きにくくなる、②社員が日常性の中に埋没してしまうという理由が考えられる。
・会議におけるリーダーの役割として、「決断」しなければならない。議論がある程度まで進むと「よし、それやってみよう。駄目なら後で修正すればいいから」と思い切って決めてしまう。皆で話し合って目標が決まったら、不要な議論をすることなく最短距離で事にあたる。そのためには、どんどん決めてアクションを起こすという文化、あるいは一度決めたことを現場で臨機応変に軌道修正しながら進めていくという文化を定着させようと考えた。


第3章 戦略力~人と組織を正しい方向に導く力~
・チェンジ・リーダーに求められる第一の資質が「現場力」だとすれば、第二の資質は「戦略力」である。現場の総和を高い成果につなげるには、その前段階として戦略を構築する力、それを現場に下ろす力が必須となる。
・戦略力を鍛えるために何より重要なのは、リーダー自身が現実のビジネスにどれだけ真剣に向き合ってきたか、どれだけ格闘してきたかにある。その要件を満たしたとき、机上の理論に「凄み」が加わる。
・戦略を遂行するために外部のナレッジを取り込む必要があるとすれば、それがなぜ必要なのかを現場に伝えつつ、それらのナレッジを具体的なオペレーションに落とし込んでいかなければならない。逆に、そのナレッジが現場から見て非現実的なものに映るとすれば、外部の専門家と協力してその溝を埋めていかなければならない。
・現場の社員に生き生きと施策に取り組んでもらうためには、戦略をそのまま伝えるのではなく、いかに伝えるかが決め手となる。言葉にすると簡単そうだが、社員が腹落ちするように伝えるのは、思いのほか根気のいる作業である。コミュニケーションと言ってしまえばスマートに聞こえるが、現実には人間同士の格闘の末にようやく成し遂げられるものだと思う。


第4章 変人力~変革を猛烈な勢いでドライブする力~
・著者はこれまでに日本HP、そしてダイエーという2つの会社の社長を経験してきた。どちらの会社も就任当初から大胆な変革が求められており、日本HPの時は「統合」、ダイエーでは「再生」が大きなテーマであった。この2つの経験を振り返ってみて強く感じるのは、修羅場のリーダーには、オペレーションの能力以上にエモーショナルな能力が必要だということである。すなわち、周囲が何を言おうと自分の信念を貫き通す力、底知れない執念で変革をやり遂げる力。言わば「変人力」とでも呼ぶべき力がチェンジ・リーダーに求められているのである。
・自分ならではの座標軸を持った人は、ともすれば変人扱いされてしまうものだ。なぜなら、多くの人たちは周囲の考え方や常識に流されてしまうがゆえに、それらとは異なる考え方を用意には受け入れられなくなるからである。とりわけ和を重んじたり、ベクトルを1つにして頑張ってきた伝統的な日本企業においては、その傾向がさらに顕著となる。
・変人力の2つの資質は、①ぶれない軸を持つ、②異様なほどの実行力、「軸の精度×実行力」で決まる。遥か先まで見通せるゆるぎない軸をもって、阿修羅のような凄まじい信念で改革を実行することができれば、その成果は自ずと高まるものだと思う。
・企業が真の意味で再生を遂げるためには、破壊的な改革だけでは不十分である。構造改革で利益の出るビジネスモデルに持っていった後は、創造的な改革が欠かせないのではないか。企業が自律的に成長軌道を描くためのDNAを内部に埋め込まなければならない。
・企業再生のリーダーシップは戦場におけるそれと同じでないかと思う。命を投げ出して戦う隊長の姿を見た兵士たちは、その姿に自然と共感して自らを鼓舞するようになると言われる。つまりは何が何でも目標を達成しようとするリーダーの気概こそが、部下の気概や共感を引き出すための一番の処方箋になる。また、部下に方針を伝える際は、戦略や戦術から伝えるのではなく、自分の熱い思いや哲学を恥ずかしげもなく伝えることが重要だ。
・リーダーたる者、机に座って戦略を説くのではなく、できる限り多くの社員に直接思いを語り続ける必要がある。その意味でリーダーは伝道師にも似た役割を担わなければならない。


【感想&気づき】
お薦め度:★★★★★(5段階評価)
出版記念講演を直接聞きに言ったこともあってか、著者の熱い思いがヒシヒシと伝わってくる本であった。
おそらくダイエーの社長で日々戦っているときは、著者の思いのままに、行動されていたのだと思うが、振り返りつつそのリーダーに求められる条件を「現場力」「戦略力」「変人力」という視点からまとめられた。
常に変革を意識し、それを実行・推進できる人間を目指すにあたって、やはり「変革力」という視点は勉強になった。
近年、自分自身が、世の中から見て「変わった人」であってもよいのではないかなと思ってはいるものの、その「変わっている」というベクトルは、あくまでも熱い思いを持ち、変革のゴールを見据えての貫き通す力でなければならないのだと感じた。そういった意味では、まだまだ「変人力」のレベルが私自身は低すぎる。日々の行動の中でも、この側面を意識し、いざというときに動けるようにならなければいけない。



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基本情報

ダイヤモンド社 − 樋口 泰行

投稿者

smile-coach

最終更新

2008-08-07 07:37:22
 

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